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家族信託の活用方法(その1)
こんにちは。山本です。
最近、家族信託の活用を積極的に考えています。
家族信託は相続税対策という点では、あまり役に立ちません(たぶん)。
しかし、家族信託は財産の活用と相続対策という点で有効な方法の一つだと考えています。
具体的な事例として、マンションタイプのアパートを持っているAさんという事例(フィクションです)を考えてみます。
Aさんは、昭和19年生まれの74歳です。
10年ほど前に建てた5階建てのRCのアパートを所有しております。
当時の建設費はおよそ2億でした。
すでに融資は完済している状況です。
Aさんには、子供が3人います。長男は同居、二男は東京、長女は福岡に暮らしています。
長男は常日頃からアパートの管理を手伝ってもらっています。
Aさんは長男に財産を相続させたいと考えています。
Aさんから見て、子供たちの仲が良いとは思えず、Aさんが亡くなった時に子供たちが財産でもめるではないかと心配しているという状況です。
当初、Aさんは遺言を考えました。
しかし、遺言であれば遺留分減殺請求というものがあると聞きました。
Aさんの財産は、アパートがほとんどの財産で、その他の財産は自宅と預貯金が1500万ほどという状況です。
将来的に預貯金は増加すると思われますが、どうなるのかは良く分かりません。
遺留分減殺請求のためのお金を長男が用意できなければ、Aさんが大事にしてきたアパートを手ばさなければなりません。
Aさんは、遺言は作ったものの、これで良いのかと考えています。
その次、長男が会社を作って、会社にてアパートを管理するという方法を考えました。
会社設立の費用は、そんなに発生しません。
しかし、会社がAさんから不動産を購入するときの融資手数料、利息、各種税負担が発生します。
これまで借入を一生懸命返してきたのに、右から左に不動産を動かすだけで費用が発生する事にAさんは納得されませんでした。
新会社に現物出資でアパートを出資する方法もあります。
その場合は、Aさんが株主となります。
不動産管理会社の株価は高額になる事と事業承継減税を不動産管理会社は受けられません。
そのため会社を設立しても、会社の株式をどのような相続させるのか?という問題が発生します。
そこで、家族信託の提案をしました。
家族信託のスキームは、別の機会にブログにアップします。
信託の良いところは、信託財産という事で本人の財産から分離する事になります。
つまり信託を行えば相続財産ではなくなります。
そのため相続手続きにおける遺留分減殺請求の対象から外れるという事になります。
なら信託財産は最終的にどうなるのか?というのが疑問に思います。
信託財産は、信託契約終了の時に信託財産の帰属先に帰属する事になります。
その帰属先が相続人であれば、相続税の対象になりますし、そうでなければ贈与税の対象になるという事です。
そのため相続税対策にならないと記載したのはそういった点でメリットがないという事になります。
相続対策としての家族信託、高齢者の財産管理スキームの一つとして家族信託というものの活用もありだと思います。
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