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相続を原因とする時効取得

2018.3.30

こんにちは。山本です。
最近、時効取得の裁判をすることになりました。

時効取得とは、非常に分かりにくい制度です。
20年他人のもの所有の意思をもって占有すると、その所有権もしくはその他の権利を取得する事ができます。

今回は、相続を原因とする時効取得の裁判を行いました。
相続を原因として時効取得を検討する場合、問題になる判例があります。

相続人が複数人いる場合、各相続人はその相続分に応じて相続財産を共有します(898条)。共有者の1人が単独で占有するときは他の共有者の持分については他主占有であると解されるので(判例)、共同相続人の1人が単独で相続財産を占有したとしても、その者は単独所有権を時効取得することができないのが原則となります。

しかし、判例は、共同相続人の1人が単独に相続したものと信じて疑わず、相続開始とともに相続財産を現実に占有し、単独所有者として行動しており、これについて他の相続人が異議を述べなかったという場合には、相続人はその相続の時から自主占有を取得すると解する(最判昭47.9.8)。

共同相続人の1人が単独に相続したものと信じて疑わずという部分は、本事例においては家督相続という制度が絡んでいます。
そのため昭和47年判例はこのような判断になったと思っています。

それでは最初から相続人が複数人存在する事を知っていた場合はどうなるのか?という問題がでてきます。
相続だと、自らの持分についてのみ自主占有、他人の持分については他主占有と考えられます。
そうなると相続人の一人が占有していたとしても、時効取得ができないのではないか?と考えられます。
そこで次のような判例があります。

相続人が、被相続人の死亡により、同人の占有を相続により承継しただけでなく、・新たに当該不動産を事実上支配することによって占有を開始したと言える場合であって、・その占有が所有の意思にもとづくものであるときは、相続人は新権限による相続人独自の占有にもとづいて取得時効の成立を主張することができるとする(最判昭46.11.30、最判平8.11.12)。

前述したように、占有者は所有の意思をもって占有するものと推定される(186条1項)。しかし、他主占有者の相続人が取得時効の成立を主張する場合においてはそのような推定は働かず、相続人の占有が所有の意思にもとづくものであると言い得るためには、取得時効の成立を争う相手方ではなく、占有者である相続人自らが、「その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情」を証明しなければならない(前掲最判平8.11.12)。

当該不動産を事実上支配するという状態まで占有を立証できるのであれば、相続を原因として時効取得を主張することは可能なのでは?
そんなことを現在、考えています。
相続人のうちの占有者名義の建物があれば、事実上の支配状態を立証する事は可能になる。そんな結論になります。
しかし、これが農地であればどうなるのだろう?
事実上の支配を立証する資料が圧倒的に不足します。

相続を原因とする農地の時効取得については、また検討してみます。

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